設定2
アーサー王物語
「続いてFate/the midnight sagaでのアーサー王物語を紹介しようか。進行はライダー事俺とキャスター事ニムエ」
「よろしくー。それとブリタニア出身と主張する前セイバーにも来てもらいました」
「よろしくお願いします」
「何でこんなもんをわざわざ紹介するのか、それはこの話がどのアーサー王物語とも違う上にFateとも若干異なるせいだ」
「元々アーサー王物語は様々な伝承を寄せ集めて作られたものだから、いろんな話があるのよねー」
「そのせいで真実とはかけ離れた話も存在するのも事実」
「と、言うわけでそれなら自己解釈で構成しちゃえ、なんて大それた事を作者はやっちゃったわけだ」
「こんなふうに考えながら書いてる、程度の参考になってくれれば十分よ。あ、ちなみに『アーサー王伝説簡略解説』でも書いてるから参考にしてね」
「……あれ? その参考とこれの構図って思いっきり似通ってる気がするんだけど……」
「あー、それはこれを作ってたらやたらと長くなったせいで独立させたからよ。
ホントだったらあたし達が説明するはずだったのにアルトリアに取られちゃって……」
「いいではありませんか。『アーサー王』の話なんですから」
「ま、いっか。ぶっちゃけ面倒くさかったし、あっちに丸投げしててもさ」
「……さ、さあ。準備はいいかい? あ、言っておくけれど、下の文章はアーサー王物語をさわりでも分かってないと分かりづらいかもしれないよ」
「ではれっつごー!」
ウーゼルまで
設定
・アンブロシウスは別にキリスト教徒ではない
・だがアンブロシウスは古き神々、ドルイドの神言のみを信じているわけでもない
・アンブロシウスの時点でカリバーン所有
・アンブロシウスは不治の病を抱えていて早くに亡くなった
・マーリンは絶対的な未来を見通せてはいるが、それを何らかの形で回避しようとしている
・ロト王やコーンウォール公はアンブロシウスには忠誠を誓っているが、ウーゼルに関してはあまり快く思っていない
・サクソン人とはなおも戦争継続中
・イグレインは竜の巫女
「……なに、この突っ込みどころ満載な設定は」
「えっと……Fateの設定に合わせようとしてつじつまあわせをしたのと作者の暴走の結果?」
「呆れてものも言えないわね……」
「まず世界観はキリスト教と古い宗教が入り乱れた世界としているので、アンブロシウスがキリスト教徒ではありません。
ですが教会の復興には尽力を尽くしたとあるので、新旧の宗教にこだわっているわけではないとしました」
「そもそもキリスト教設定だってギルダスがでっち上げた可能性もあるしねー」
「アンブロシウスが毒殺ではなくしたのは『ブリタニア列王史』の創作をわざわざ土台にする必要はないと判断しての事です。
ようはアンブロシウスをウーゼルの時代の前に退場させればいいのですから」
「カリバーンは『ブリタニア列王史』の段階ではアヴァロンで製作されたもので入手エピソードは一切ないわ。
それを利用して王の中の王と表現されたアンブロシウスにもふさわしいだろうと作者が付け足した設定よ」
「マーリンの設定は神託なんかに従わない流されない魔法使いにしたかったからで、『マーリン伝』で既に流されちゃってる存在になってるしね」
「まあ、作者がコーンウェル版を始めに読んだからその影響が多々あるせいなのよねー」
「サクソン人との戦闘を継続中なのはもちろん後でアーサーに十二の戦いをしてもらうためだよ。
アンブロシウスが決着をつけたのだって年代で考えればアーサーの時代だしね」
「そして……イグレインの設定は何?」
「アルトリア(アーサー)が竜の因子を所有して膨大な魔力持ち、モルガン・ル・フェが湖の貴婦人になる設定を一発で解決する独自解釈。
さすがにモルガンをアーサーと無関係なジェフリー版のままにするのはまずいから、無理やり解決するとこうなる。
ウーゼルとコーンウォール公両方が神秘的な存在、にするよりはよっぽどいいと思うけれど」
「んー、なんか釈然としないけど……」
「じゃあ独自エピソードは下の感じで」
アンブロシウスは戦争に明け暮れる中、竜の巫女と対面する。
マーリンとは全く異なった神秘的な存在に目を丸くするアンブロシウスだったが、彼女もまたミナス・ティリスの二頭の竜で垣間見る未来を按じていた。
立派ではあるがどこか危ないものをウーゼルに感じていたアンブロシウスは竜の巫女と未来についてたびたび相談するようになる。
そんな中、竜の巫女はいずれ自らが嫁ぐだろうコーンウォール公ゴルロイスと出会ってしまう。
何とかして未来を変えたいと思っているアンブロシウスは忌み嫌っていた『自ら神秘の行使』に手をつける事にした。
すなわち、全て尊き理想郷(アヴァロン)に至り、その道を切り開こうとする。
奇跡的か運命か、生きながら島まで辿り着いたアンブロシウスはついに湖の貴婦人から王者の剣(カリバーン)を手に入れる事ができた。
が、剣を授けてくれた湖の貴婦人は消失する。
そして凱旋したアンブロシウスではあったが、時既に遅く、コーンウォール公とイグレインは結ばれていた。
アンブロシウスは二人の子供に湖の貴婦人の名、モルガン・ル・フェを与えるのだった。
未来を按じながらアンブロシウスは息をひきとる。
「モドロンはオウァインの母親設定になるからモルガンとはまた別人にしました」
「色々と突っ込みどころ満載だけど、勘弁してね」
「――……」
「それでは次はウーゼル時代よ!」
ウーゼルの時代
設定
・コーンウォール公の一件以来、ウーゼルは内乱と外部からの進入に悩まされ続ける
・イグレインの娘達はモルガン、エレイン、アンナ(モルゴース)
・アンナ(モルゴース)がガウェインを逆上させるエピソードは全カット、四人兄弟の取って良き母親のまま
・アンナ(モルゴース)は父を謀殺したウーゼルを憎んでいるが、当事者(ウーゼル、マーリン)に対する恨みだけでアーサー自身にうらみはない
・モルガンはマーリンの元である程度の神秘を学んだニムエの姉弟子、マーリンとは別の方法で終焉の回避を望む
・モルガンは母が結局父を裏切った事を快く思っていないが、アーサー自身が王に縛られている状況はどうにかすべきと思っている
・カイ(ケイ)は馬鹿ではない
・アルトリア(アーサー)はFateの設定
「先にも書いたけど、ブリタニアは別にアンブロシウスが絶対的な存在、王じゃないのよ。王の中の王であって実際には何人も王はいるわ。
自分が人妻にほれたからって盟友を攻め滅ぼすなんて言語道断よ。おとなしく従ってるはずないじゃない」
「なお、コーンウォール公がウーゼルと長く争っていた設定は後に付け加えられたものなので、『ブリタニア列王史』には存在しません。
今回もそれを採用し、よりウーゼルの暴虐を強調するようにしています」
「ここでの最大の変更点はアンナにした事よ。Fateではモルガンが一手に鍵を握っているからモルゴースはいらないのよ。
だから元々存在していたガウェインとモードレッドの母、アンナに戻したわけね。
わざわざアンナまでモルゴースにして悪女を演じさせる必要性は皆無なわけだしね」
「カイはケイになってから時代を追うごとにランスロットたちのかませ犬になっていくけれど、
ここでは『マビノギオン』のカイをベースにしているから魔術戦士だよ」
「アルトリアに関してはFateのFateルートを参照にして頂戴ね」
「次はいよいよアーサー王の治世前半!」
アーサー王の治世前半
設定
・カリバーンが折れた時にエクスカリバーを授けたのはニムエ
・エクスカリバーはカリバーンと同一のもの。カリバーンをアヴァロンで鍛えなおした
・ニムエの目的はキリスト教で染まりつつあったブリタニアにアヴァロンのような理想郷を体現させる事
・メドラウトに関してはモルガンがアルトリアをたぶらかし、はぐくんだ
・ロト王ら十一もの王の反乱にアンナの思惑は一切ない
・小ブリテンからゴール王ボールス、ベンウィック王バンの力を借りはするが、大陸の方で彼らがゲルマン人相手に優勢なわけではない(むしろ劣勢)
・ランスロットに関係したのは別の湖の貴婦人
・マーリンはこの時点ではいなくならない
・当たり前だがローマ遠征はない
・ランスロット達円卓の騎士が終結し、可憐な騎士道のに基づく旅はそのまま。だが各地から優秀な者を集結させる意味合いが強い
・サクソン人とはなおも戦争継続中、西(アイルランド)に関してはトリスタン関係で一応終結
「……これはまあしょうがないわね。いつかカリバーンをエクスカリバーにしなきゃいけないのは決定済みだし。
あたしに湖の貴婦人属性が付いてもしょうがないわ。ただモルガンと同様にドルイドでありながら湖の貴婦人の属性も持っているって事にするつもりよ」
「カリバーンをアヴァロンで精製した設定にしたから湖の貴婦人再登場はしょうがないね。ただやっぱりニムエはコーンウェル版を強くするみたいだけど」
「じゃあアーサー王物語最大の鍵、メドラウトに関しては以下の通りよ」
ロト王、アンナとガウェインら四人らを従えてアーサーの下へとやって来る。
そのアンナの前に現れたのは姉であるモルガンだった。
モルガンは『アーサー王』の終焉をもたらすべくアンナに協力するよう迫るが、アンナは母イグレインとアルトリアの事を思い拒否。
ちなみに神秘の存在である二人にはアーサーがアルトリアと言う少女だとは分かっている。
モルガンは『アーサー王』にもたらすのであって『アルトリア』にではないとそそのかす。
アンナもアルトリアの事を思ってモルガンに卵子を提供する。
モルガン、アルトリアをたぶらかして行為におよび、アルトリアの精子を手に入れる。
アルトリアの精子、アンナの卵子、モルガンの子宮によって終焉をもたらす騎士、メドラウトが誕生する。
「アルトリアはアーサーのラテン語アルトリウスの女性系。だけどFateでもモードレッドはそのままなのよ。
だけどね、『なぜモードレッドが男なのか』でも書いたようにアルトリアが女なのに、
そのクローンのモードレッドが男のままだって矛盾があるのよ。
だからFateとの差別化を図るためにモードレッドはメドラウトに戻して、アルトリア同様に女の子設定にしてるわ」
「アンナは『アーサー王』を嫌悪していて、でも『アルトリア』には好印象を覚えてるって事になってるよ。
モルガンも同様だけど、アンナ以上に嫌悪感が強くてそっちに傾いて色々な手段を講じてるね」
「だからアーサーが幼いからって反乱を起こしたロト王の一件には何も関わっていないわね。
結局ロト王の反乱が失敗しても息子達には『アルトリア』に仕えなさいって言うのよ。復讐する気を起こさせないようにしてね」
「その時に小ブリテンにいた二人の王の軍勢が援護にかけつけてくれますが、実は時期的に非常に危ない状況です。
何しろこの頃にはフランスではクローヴィス一世によってゲルマン人のフランク王国が成立していて、ブルターニュは脅かされていたはずだからです」
「まあ、それが祟って見事にクローヴィスに滅ぼされちゃうんだけどね」
「当然アーサーによるローマ遠征がないので救済措置は一切ありません。あしからず」
「あ、それと『ニムエ』がブリタニアの湖の貴婦人になった事でブルターニュの湖の貴婦人じゃなくなっちゃったから、ランスロットにあたしは関わってないわ。
マーリンは関わってたみたいだけど。
それとベドウィル達ブリタニアの騎士が抗戦して敗北した、なーんてコーンウェル版っぽい裏設定も考えてるけど公開は控えるわ」
「さて、史実と全く異なった設定になっているのは、騎士道物語を存続させているからだね」
「『マビノギオン』にも騎士の旅は存在していたし、それで新たな騎士が円卓の元に集う事に着目してそのままにしたのよ。
ディウルナハの大釜を始めとするあたしが所有する十二の宝具を集める旅は『キルッフとオルウェン』が元ね。
あ、ちなみにFateで登場するベディヴィエールもメドラウト同様差別化を図るために元々存在していた片腕の槍使いベドウィルよ。
「とは言え聖杯探求に結びついていくペレドゥル=パルジーヴァルの話はまだだよ。結構長いからサクソン人との戦争の最中にやってられないしね」
「ではいよいよ最高の繁栄と栄光を迎えた時代の番よ」
「どうぞ」
アーサー王の治世半ば
設定
・十一回の戦争の後、アルトリアは今まで各騎士たちの旅によってつながった絆をもって大軍を結集する
・対するサクソン側は十一回の戦いでエレ・ブレトワルダの勢力が衰え始め、セルディックが勢力を持ち始める
・十二回目の戦い、ベイドン・ヒルでの戦いでサクソン人との戦いに終止符
・エレはその戦いで死亡、セルディックは息子ケンリックと共にかろうじて敗走する
・時期は聖杯探求前で、それ以外の事はほぼ起きている
・グェネヴィアは基本アルトリアに一途で、頭が切れて戦えもする
・メドラウトは既に円卓の騎士になっている
・聖杯探求成功者はギャラハッド
「聖杯探求以外の出来事は全てこの時点で起こっている事にしています。
幾たびの旅で培った縁により、強き騎士との義理を果たすべく名のある騎士たちが続々と集まってくる、いわば集大成なのですね」
「惜しいのはトリスタンが死亡している事ぐらいで、かつてない規模の敵を相手に総力戦になるわけだ。
サクソン側の大将は時代的に考えてエレとセルディックにしておいたよ。軍勢ではそれでも敵の方がやや多い事になってる」
「あ、ちなみにグェネヴィアは『アーサー王の死』にあるような浮気をし続けるような奴じゃあなくしてるわ。
基本この辺もコーンウェル版を参考にしてるけれど、戦略面に長けていて弓の名手って事にしてるわ」
「メドラウトがキャメロットを掌握していくなら多分この辺で初陣だろうと判断して戦争に参加させておいた。
まだカムランには二十年ほどあるけれど、ここではFateの十年間設定は排除してるよ。
けれどもこの段階でメドラウトはアルトリアとの関係を知らされていて、絶望の淵にいるね」
「メドラウトはモードレッドと違ってより父親への想いが強い反面、王への執着がないわね。
だからこそ王であるアルトリアに拒絶されて反感を覚えるのよ」
「この頃には円卓の騎士たちもそろそろ世代交代が始まりつつあります。
それが聖杯探求で一気に加速していくのです」
「聖杯探求はキリスト教徒のものなので、一部の強力な騎士のみの物語になります。
基本的に苦難などもありますが惨めな結果に終わったのは残しておくようですね。
聖杯探求成功者はこの時のために生み出された騎士ギャラハッドとして、パーシヴァルではなくしました」
「ケルト由来の騎士たちも参加するけれど、案の定不発で終わっちゃうわ」
「ではいよいよ後半、終焉への道だよ」
アーサー王の治世後半
設定
・ニムエの暴走が始まり、マーリン幽閉
・グェネヴィアがアルトリアの秘密に気づき始め、それもあってランスロットに接近していく
・ランスロットは既にアルトリアについて気づいていて、彼女を王としては見ていない(守るべき存在と認識している)
・メドラウトの反乱はランスロットとの戦争の最中
・ガウェインはメドラウト自身に倒される
・ベドウィルはエクスカリバーを投げる際に妨害を受けるが、湖に無事に返す事ができた
「ここでようやくマーリンが表舞台から姿を消します。これによってドルイド、古き神々の終焉が近い事を暗示しています。
ニムエの暗躍はキリスト教世界への最後の抵抗の意味も込めており、アーサー王の物語もまた終わりが近い事を現していたのかもしれません」
「具体的には湖の貴婦人属性を持った巫女でしかなかったあたし自身がマーリンに代わってドルイドになるのよ。
その時にまあ色々やるんだけど、あまり本筋には関係ないからカットね」
「グェネヴィアは莫迦な女じゃないから、長年いればアルトリアの異常に気づくわ。
それでこの頃からランスロットに接近していくのよ」
「ランスロットはグェネヴィア一筋だった設定をなくして、アルトリアに気づいている事にしたよ。
彼女に一途な思いを抱いているのかはまだ作者は決めていないよ。だがそれのおかげで聖杯が取れなかった事には変わりない。
……Fate/Zeroのバーサーカー次第で覆る設定ではあるけれどね」
「この時には既にベイドン・ヒルの戦いから随分経っていましたので、アーサー王誕生の時には若かったガウェインたちは老兵になりつつあります。
円卓の騎士の栄光にも陰りが見え始めてきました」
「古い騎士たちは栄光の日々を知っているからアーサー王に従うし、歴戦の騎士に剣を捧げているわ。
けれど若い騎士たちはそれを知らない。だからこそメドラウトは彼らを掌握していったのよ」
「そしてランスロットの離反を招く事になる」
「後はほとんど同じだから省略!」
「え? それは随分と横着しすぎなんじゃないかな」
「あ、そうそう。メドラウトは最後まで結局アルトリアに認めてほしかっただけなのよね。
けれどもアルトリアは一人の人間ではなくアーサー・ペンドラゴンを最後まで選んだ。
ランスロットやグェネヴィアがアルトリアから距離を置きだしたのは平和になった以上王の中の王であってほしくない、って意味もこもってたのよ」
「だが結局騎士や王妃達の思いはむなしく、アルトリアが救われるのは第五次聖杯戦争を待つしかなかった」
「……」
「エクスカリバーもアヴァロンへと返されて、古きよき時代は終焉を迎えるのよ」
/
「あー、終わった終わった。これで心置きなく本編を進める事ができるわよね」
「ええ。アオイがどうなってしまうのか私も気がかりでして……」
「ちょっと待ったー。まだ俺が何者かを語ってないだろ」
「んー、どうでもよくない?」
「よくない。最後は『イフルート』についてだよ」
続くんです……
2007年11月20日