/4日目・interlude

「なによあれ…!」
クリスはただただ驚いていた。
キャスターと戦った。ランサーとも戦った。
確かにそれぞれが人間を超えた存在、英霊の名にふさわしい実力を持っていた。

キャスター、まさか宝具が円卓の騎士を召喚できるものとは思っていなかった。
ランサー、宝具を多数所有し真名が何か全く分からなかった。

でもそれだけだ。
所詮自らのセイバーの敵ではない。

キャスター相手にはその剣で召喚された騎士を一刀両断した。
ランサー相手には使用する宝具をねじふせた。

双剣を使おうとしていたアーチャーや、まだ見ぬライダーでもセイバーは倒しきれないだろう。
アサシンならなおさらだ。
アインツベルンの悲願は2回をもってかなうのだ。

そう、思っていた。

「何やってんのよセイバー!」
クリスはそう己のサーヴァントに怒鳴るが、明らかにクリスはあせっていた。

敵はアサシンと名乗った人物。サーヴァントなのかすら分からない。
見た所アサシンの攻撃手段は漆黒の西洋剣で魔力放出によって威力を底上げする事によるパワー型の戦法だ。

「しっ!」
そしてたまに行うのがそこから発せられる魔術の刃。
当然対魔力が高いセイバーにそんなものは効かない。単純にそれは目くらましや牽制目的だろう。

そのアサシンが、セイバーと互角の死闘を演じていた。
互いの武器は槍でも拳でもない。正当なる剣。それも小細工のない騎士同士の剣だった。

「はああっ!」
「ふっ!」
互いの剣がまたぶつかりあう。
総合面で2人は互角。剣そのものの腕はセイバーの方が上だが、魔力は明らかにアサシンの方が上だ。

「アサシンのくせに…!」
ぎり、と歯をこするクリス。

魔力が高い事はセイバーとの打ち合いで判断した事だ。
それだけの魔力が放出されていてもなおアサシンの能力が分からない。

「くっ!」
クリスが放つ魔術もまた同様に黒づくめには効果がなかった。
これでアサシンと名乗った敵は対魔力を備えている事になる。
近距離戦闘が全くできないクリスはもはやこの戦いでは何の役も得られないでいた。

黒づくめはあくまでセイバーのみにしか興味がないように戦っている。
本来ならクリスを倒す方がセオリーのはずだがそれをする様子は全くなかった。
当然セイバーは黒づくめとクリスの間をとって戦ってはいるが。

 幾度剣をまじえただろうか。
もはや百はゆうに超える数だけ打ち合っただろうか。
始めの方は見ほれていたその剣舞だったが、クリスは正体不明の敵を倒せない事にいらだちを感じていた。

 互いの一撃は敵を即座に葬るほどの威力をそなえている。
時にはそれを剣ではじき、時には大怪我すれすれの所でかわして軽傷にする。
互いに戦闘に支障となるけがを負わせていなかった。

「もういいわセイバー。とっととそいつを殺しなさい!」
クリスは己のサーヴァントに命令を下す。
令呪は使っていないが使うのは全くいとわないと言ったように。

「…」「…」
セイバーも黒づくめもこのままでは決着は長引くと判断し、一旦間合いを離れる。
セイバーは目線をいっそう鋭くし、大きく剣を振りかぶった。

「あれは…」
黒づくめの表情も鋭くなる。

その雰囲気、間違いない。
セイバーは宝具を使用しようとしている。

(生半可な攻撃や防御であれを打ち破るのは不可能だろうな…)
なら退くか?
莫迦な。何を考えているんだ。

今までワタシはどれだけの思いをしてきた?
それは今退くようなほど軽いものなのか?
そんな事はない。

ワタシの剣は…。

「む?」「!?」
セイバーとクリスは同時に驚く。
今まで深い霧にかかっていたような黒づくめの雰囲気が一変したのだ。
そして漆黒の剣に集められていく膨大なまでの魔力。

黒づくめもまた宝具を使おうとしている。

「え…?」
魔力が集まっていくたびに黒づくめは変化していった。

その風格、それは正に英雄のそれだった。
その剣、果て無き思いを宿したものだった。
その姿、それは…。


馳せる竜破壊の聖剣グ  ラ  ム!」


「―――――――――!」


互いが宝具の名を呼び、剣を振り下ろした。
互いの放った一閃はほぼ中間の地点でぶつかり合う。

 激しい衝撃音と閃光が辺りを支配する。
セイバーも黒づくめも魔力を注ぎ、打ち勝とうとする。
その結果、

「ぐ…っ!」
「何…っ!?」
セイバーも黒づくめもその結果には驚いた。

双方の攻撃は互いを削り、消滅させたのだ。

「そんな…」
「バカな…!」
その結果に唖然とする2人。
宝具は英雄の代名詞のようなもの。それが破られると言う事は己を否定されているに等しい。
どちらの宝具も互いに傷1つ負わせる事無く消滅したのだ。

「風よ!」
「はああっ!」
だがそれはコンマ一秒程度。
宝具での戦いもまた無益ならば、通常戦闘でしとめるまでだ。

再び2人の剣がかさなる。
セイバーはルーン魔術で、黒づくめは魔力そのもので能力アップをし殲滅にかかる。

「…」
黒づくめはもう先ほどのように深い霧の中にいるかのように能力を隠してしまった。
あのグラムと同じ威力の宝具を使った瞬間にそれを解除しただけだが、これで黒づくめの正体に近づいた。
でも、

「ありえない…」
アサシンではない。アサシンのはずがない。
アレがアサシンで召喚されるはずがない。
なら、アイツは一体何なんだ?

「…」
クリスは首を振るってその考えを捨てる。
もし敵が自分の考えている通りなら、自分のセイバーなら勝てる。

「さあセイバー、命じるわ。全力をもってそいつを殺しなさい」
自身の令呪を用いてクリスはセイバーの強化を行う。
他のサーヴァント相手にならまず使うことにはならなかっただろうそれを惜しげもなく使う。
今までの戦いで互角の勝負だったなら、令呪の効果がプラスされたセイバーに黒づくめが勝てるはずがない。

「ぐっ!?」
黒づくめは徐々に押されていく。
力もスピードも若干セイバーの方が上回っていて、その少しの差がここでは左右を分けた。

右に、左に、下に、上に。
セイバーのふるう剣が黒づくめを追いつめる。

「くぅっ!」
黒づくめはたまらなくなり、間合いを離そうとする。

「逃さん!」
だがそれはセイバーにとっては絶好の機会だった。


天帝の飛翔剣グングニル!」


剣先を敵に向け、高速で突進をする。
間合いを離そうと飛びのいたばかりの黒づくめにそれをかわす事はできない。

 黒づくめは漆黒の剣からはなった暗黒でそれを防ごうとするが、軍をも吹っ飛ばすその突進突きにそれはきかない。
そしてグラムは黒づくめの肩に突き刺さった。

「ぐああっ!」
その勢いを利用して黒づくめはわざと吹っ飛び、数十メートルの距離を稼ぐ。
突き刺さった肩の方の腕はもはやあがらず、血がしたたりおちている。

「ワタシでは…勝てぬか…!」
そう述べると黒づくめはセイバーとは逆方向を向き、一目散に逃げ出した。
この状態ではもはやセイバーに勝つことは不可能と悟っての逃走だ。

「追うわよセイバー!」
「分かったマスター!」
セイバーはクリスを背負い、黒づくめを追い始める。
大雨の中の追撃、セイバーはなるべくクリスに負担がかからないよう雨を自らが受ける。

「…駄目ね」
クリスはただ事実をつぶやいた。
宝具を放った時の黒づくめならともかく、今の状態では黒づくめを探知する事は不可能。
隠れられたのでは見つけようもなかった。

「令呪まで使って逃げられるだなんて…情けないわね」
黒づくめに深手を負わせた代償が令呪1個。
これはクリス達にとっては敗北並みの屈辱だった。

「…ごめんね。セイバーだったらあのままアイツを殺してたかもしれないのに」
「終盤ならともかく今は他のサーヴァントたちもいる。短時間でしとめるにはあれしかなかったんじゃないか?」
「…そう?」
「ああ」
セイバーは落ち込むクリスににやっと笑う。

「君は最高のマスターだよ」
「…そうね」
クリスも笑みを浮かべた。

「私は最高のマスターなんだから、貴方も最強のサーヴァントらしくしてよ」
「分かっているさ」
白い少女と神代の英雄。
時代も生い立ちもなにもかも違う2人だったが、間違いなく2人はパートナー同士だ。

「ちょっと降ろして」
「ん、了解した」
クリスはセイバーの背中から降り、辺りに神経を集中する。
聞こえるのは大雨が地面や屋根に落ちる音、少しはなれた川の音だけだ。

「やっぱいないわ。帰りましょうか」
「そうだな。これ以上の収穫はなさそうだし、雨も強くなってきているしな」
黒づくめが探知不能だと分かるとクリスは大げさな身振りをしてセイバーの方に歩き出す。
と、

「!?」
セイバーはクリスとは違う方向に顔を向ける。
その表情は完全に驚愕に満ちていた。

「いかんマスター! 私の後ろに!」
「え…?」
セイバーはいい終わる前に剣を前に振った。
と同時にその剣と激しく何かがぶつかる。

「ぐ…ぐぐ…!!」
魔力とルーン魔術を駆使して何とか踏みとどまるが、セイバーは押されていた。
クリスはそのセイバーを押しているものの正体を見る。

「あれは…!」
それは槍の宝具だった。
クリスがセイバーとランサーの戦いで見たものとはまた別物だ。
クリスには分からなかったが、それはゲイボルグと呼ばれる宝具だ。
すなわち、セイバーを攻撃したのは、


「“刺し穿つ死棘の槍ゲイ・ボルグ”」


あのクー・フーリンが使う宝具だ。
彼ほどの威力があるかはさておき、その宝具はまさしく本物だった。


雷帝の覇轟剣ニョルニル!」


セイバーが放った雷がその槍の威力を蝕み、
ついには力尽きてその場に転がった。


ドッ。


「な…に…?」
セイバーの顔が青ざめる。
彼は自分も見ているものが全く信じられなかった。

「う…」
セイバーは呪った。
これをやった相手を、防げなかった自分を、この運命をもたらした世界を。


「うあああああああっ!!」


セイバーは世界に轟くとばかりに叫んだ。
ただただ叫び、急いでその悪夢から逃れようと努力する。

クリスの腹には槍が突き刺さっていた。

セイバーには分からないが、それはブリューナクと呼ばれる槍。
それを投げたのは、数百メートル離れたランサーだった。

「うまく言ったようだなランサー」
「…そのようだ」
まず宝具の真の名を唱えて使用し、セイバーの手を止める。その軌道は直線。
そしてその間にもう一本の槍を真の名を唱えず投げた。その軌道は放物線。
結果、セイバーは威力ある槍を防いだ。そして同時に放物線をえがいたただ投げられただけの宝具がクリスに突き刺さったのだ。

「ふ、ルーン魔術か…」
セイバーは必死になってその傷を抑えようとしている。
天気は大雨。血は際限なく流れ出している。
それでもセイバーはあきらめなかった。

それを遠くから見るのはランサーとそのマスター双魔。
双魔は笑みを浮かべ、命令を下す。

「引導をわたせランサー」
「了解した」
ランサーはそれにうなづき、槍をまた取り出す。
取り出したのはケルト神話においてディルムッド・オディナが所有していた『ゲイ・ボウ』。
その槍であたえた傷は癒えることはないと言われている。

「終わりだアインツベルンの魔女…!」
双魔は確信した。
この一撃でセイバーはダウンし、クリスは死亡。セイバーはリタイアだ。
ランサーは槍を投げようと振りかぶった。

interlude out




Fate/the midnight saga(仮)

第16話


   /

雨のふる町。
そこでの戦いは激化していた。
俺ことアーチャー組とレイリーのライダー組、そしてバーサーカー組の戦いに謎の人物が乱入してくる。
死を連想させるその少女は一体…。


「キャ…キャスター?」
俺はレイリーの言った言葉を反復する。
キャスター、つまり魔術師のクラス。
それは今回の聖杯戦争ではニムエに与えられたクラスのはず。

「…どういうことだ?」
首をかしげる俺。と言ってもレイリーがその事に関して話してくれるはずもないし、自分で判断するしかなさそうだ。
さしずめ考えられるのは、

@今回アサシンは抜きでキャスターが2人召喚された→それじゃあ瑪瑙がレイリーに命じてる理由とは薄い。
A今回召喚されたのは8人で既にアイツは何人か犠牲にしている→…ありえなくもないんだけど、それだったらキャスターが気づいてるだろうし。

「分からん。何でアイツがキャスターなんだ…?」
「…可能性がなくはないんじゃないか?」
悩んでる俺にアーチャーがそう話しかけてきた。
彼の立ち位置は俺とレイリーの間。彼女の不意打ちを警戒しての事だろう。

「可能性がある?」
アーチャーはうなづいた。

「聖杯戦争は正常に機能してる(スキュラに関しては目をつぶって)。だったらニムエがキャスターな限りあいつがキャスターなわけがないだろ」
その死をもたらす精霊のような少女は間違いなく普通じゃない。かと言って使い魔程度のレベルじゃあない。
ならやっぱ彼女はサーヴァントって事になるんだけど…アサシンっぽくはない。
なら別の強力な存在か。

「死徒ってやつか?」
「死徒をキャスターって呼ぶ理由がないだろ」
「まあそうだけど…」
納得いかない。
ああ、頭がこんがらがる。

「もっと簡単な理由があるだろ」
「へ?」
アーチャーが言った事はとんでもない事だった。


「前回から残ってるサーヴァントだとしたら?」


俺は思わずぐらっとくる。
前回から残ってる、サーヴァントだって?
なんてこった…。

「そんなのがありえるのか…? 聖杯戦争が終わったら勝利者だって帰るはずだぞ…」
前回は全滅による失敗に終わっていると聞いている。ならサーヴァントが残ってるはずがない。
それに英雄をそのまま使い魔として維持し続けるのにシステムの補助なしでできるとはとても思えないが。

「憐ぐらいの魔力があれば何とか維持する事ぐらいは可能みたいだぞ」
「本当に?」
「維持するぐらいなららしいけど」
維持、を強調する。それはあくまでサーヴァントとして使わないで弱らせた状態でのかろうじての維持って事か…。

「そんな莫迦な…」
もしそれが本当ならあの少女は前回のキャスター。
ただでさえ敵は5人もいるのにその上前回のサーヴァントまで…。

「憐。それでも俺たちのやる事は決まってるだろ」
「っ!」
そうか、そうだった…。
敵が増えたとしても俺たちがやる事に変わりなんてなかったんだ。
そう、俺は…。

双魔たちを倒して、
ディートを救う。

「…おごがましい気がするけど、そうだよな」
俺は剣を構えなおした。
そして深呼吸の後状況を確認する。

現在この場にいるのは俺たちアーチャー組、レイリーたちライダー組、バーサーカー組、そしてキャスター(?)。
バーサーカー組はキャスター(?)になぜか守られていて、ライダー組はいつ俺たちの敵に回ってるか分かったもんじゃない。
ちなみに距離では一番近くにいるのはライダー組なんだが…。

「レイリー、こんな状態でもまだ俺たちと戦おうって言うのか?」
「…」
俺の言葉にレイリーは何も言わない。

今はレイリーを助けたばっかだからライダーのそばにいて麒麟の雷に守られているけど、敵対したら一番の不利は俺たちだ。
そうなったら逃げるしか道はなさそうなんだよな…。
なにせ大雨の中で水の魔術のエキスパートと戦っているんだ。はっきり言うと環境から既に負けている状況だ。

「どうなんだ?」
レイリーにとっても俺たちと敵対すればキャスター(?)とバーサーカーをしとめづらくなる事は分かってるはずだ。
それに休戦は俺から言い出した事だし、瑪瑙から俺の性格なんかも多分聞いてるはず。
ここはぜひ譲歩してほしいもんだが…。

レイリーはしばらく考えるとライダーの方を見る。
ライダーは無言でうなづき、レイリーはこっちの方を見る。

「了承、是非一時共闘を」
「オッケー」
にやっと笑う俺。
と言ってもそこまで信用できるほどお人よしでもないので一応アーチャーに念話をする。

(一応後ろからばっさりにならないよう少しは警戒しててくれよ)
(分かってる。何が起こってもおかしくないようにな)
アーチャーはさっきまでライダーと戦っていた時に使っていた夫婦剣ではなく弓矢を装備する。
ライダーの麒麟は俺たちの周りを数メートルの位置で雷の障壁を作っていて、雨にすら当たらないようになっている。
ちょっと不安なんだがとりあえずの問題はなさそうだ。

キャスター(?)は水のエキスパート。大雨の降ってる環境はとてつもなく不利だ。
この中どう倒すか…。

「行くぞ!」
ライダーの一言で俺達は飛び出す。

ライダーはレイリーの速度に合わせて麒麟を移動させているようだけど、俺でもついていけるようだ。
その間にもアーチャーは寸分の狂いもなくキャスター(?)やバーサーカーめがけて矢を何本も射る。

常人にはまず何が起こったかも分からない速度で迫るそれは、キャスター(?)の張った水の壁に威力を落とされて力なく沈んでいく。

「ライダー! このまま水の壁に突撃して全部の水消滅できんのか!?」
俺は走りながらどなる。
それが可能だったら速攻でバーサーカーとの戦いにけりをつけるんだが。

「無理だ。あれほど大量の水を一瞬でなくすにはもっと強力にしなければならない」
でもこのままだと後数秒でその水の壁に突撃するんですけど。
その点どうするんですか?

「憐、そなた達には吾らの守護を求む」
レイリーはそんな俺の心配をよそにそんな事を言い出した。
守護? 吾ら? ってことはライダーも一緒に?
なぜ…

 既に水の壁との距離は五メートルを切った。
そこでライダーたちは急停止する。

「行くぞ!」
ライダーがそう言うと、突然麒麟が作っていた雷のバリアが解かれた。
と同時に麒麟の角に魔力が収束していく。

その隙を逃さないとばかりに水が次々と俺たちを襲ってきた。
俺たちやライダーはそれを迎撃にかかるけど、レイリーはそれをやろうとしていない。
その彼女はゆっくりと回転を始めた。
そして軽やかにステップするだけで飛び上がり、


剣神之舞ヲ祖国ニ捧グキ ン コ ウ セ ン!」


その剣の舞は数多もの斬撃を生み出し、水の壁を斬っていく。
昨日のと違って広範囲拡散タイプ。まるで幻想種を相手にする事を想定しているような技だ。

宝具での幾多もの閃では水の壁はすぐに戻る事はないだろう。
なら、次の攻撃で終わりだ。

「しっ!」
アーチャーはなおもキャスター(?)に向けて矢を放っている。
それはどれも水によって阻まれてはいるけど、これはキャスター(?)の気をそらすためのものか?

「やれ!」

ライダーの一言で麒麟の角から雷が発せられる。
それはいつも見ている自然の雷よりはるかにすさまじく、神々しい。
これが神獣とまで言われた麒麟の真実…!

 再構成しようとしている水の壁などその光の柱と化した雷に何の意味があるだろうか。
そしてその雷はまっすぐバーサーカーのマスターに襲いかかった。

音もたてずにマスターは蒸発し、消滅した。

「…?」
消滅…?
それはおかしいんじゃないか? 雷に当たって死んだ人はそんな消滅なんてしないはず。
それともそれほど麒麟の攻撃が強かったのか…。

「いや」
これは思いすごしなんかじゃない。
マスターが死んだのなら瀕死のバーサーカーはとっとと消滅してるはずだ。
なのにバーサーカーがまだあそこにいるって事は…。

「しま…っ!」
マスターの消滅を確認してからここまで一秒足らず。
キャスター(?)は、俺たちを見て笑っていた。いや、哂っていた。

「やらてた…!」
ライダーの雷の障壁に守られてる間にバーサーカー組は逃げおおせたか…!?

キャスター(?)は哂いながら立ち上がる。
そして重心が体の正面に動く、つまり逃げようとしている。

「アーチャー!」
「分かってる」
今ここで逃げられたらまた何をされるか分かったもんじゃない。
バーサーカー以上の外道行為をやる可能性だってあるんだからな。
なのでアーチャーに追撃を頼もうとしたんだけど…杞憂だった。

アーチャーが矢としてつがえているのはいつもの矢じゃない。
明らかにそれは強力な概念武装だ。
しかも雷を帯びている。


金剛杵ヴァジュラ――!」


アーチャーがそう言って射た概念武装、いや、宝具は真っすぐキャスター(?)に襲いかかる。
それはキャスター(?)を守ろうとする水の壁に当たり、

すさまじい電撃を発して水を消滅させる。

「ん?」
キャスター(?)の顔が驚愕にまみれる。が、アーチャーも少し意外そうだった。
って事はキャスター(?)が防御に絶対の自信を持ってたのとは対照的にアーチャーはあれ一発でキャスターをしとめられると思ってたのか?

キャスター(?)を覆う水は全てがなくなっていた。
でも真価を発揮した宝具はもはやただの金属の物体。速度は残ってるようだけどあれではキャスターをしとめられは…。

壊れた幻想ブロークンファンタズム……!」


ってそれも杞憂だったか。
アーチャーの力ある言葉で役目を果たした宝具がその最後を向かえ、

 爆破四散した。

「ア"ア"ア"ア"ア"ア"ーーーッ!!」
聞いていて耳を塞ぎたくなるぐらいの呪詛のような悲鳴を発するキャスター(?)。
爆破の威力が直撃したようだな。

「ッ!!」
「う…っ!」
キャスター(?)はこっちの方を悪鬼のごとく睨みつけて、消え去った。


後に残ったのは俺たちだけ。
バーサーカーとそのマスターは俺たちが何とかしている間に逃げのび、キャスター(?)が水で偽物を作ったってところだろう。
結局また進展なしかよ…。落ち込みたくなるな…。

「おしかったなあの一撃。ヴァジュラとか言ったっけ…」
インドで雷の象徴とされる神インドラの持つ宝具だったっけ。
どうりで強いはずだ…。

「敵の魔術が思ったより強力だったと思う。まさか水だけで威力を殺されるとは思わなかった」
「ああ、俺もそう思う」
水にはキャスター(?)の魔力の他にも何かが隠されている。
今日はライダーのおかげで食らわずにすんだかもしれないけど、あの死の雰囲気を漂わせる魔術師の魔術なんざろくなもんじゃない。
とにかくそれによって宝具の威力が全部殺されたかと思うと、ぞっとする。

「でもあの爆破で最初からあいつを倒そうとしてたんだろ?」
「ん、まあそうかな。その前でアイツに守らせないようにしたかったから」
まあこれでキャスター(?)はしばらく再起不能だろう。
これで奴が無茶しなければいいけど…。

「次こそ倒そうな」
「ああ」
そんな事が起きる前にけりはつけなきゃならない。
あいつらに普通の人たちの一生をつむ権利はどこにもないんだから。

大雨は続いている。
キャスター(?)に大雨の水が翻弄される事はなくなったけど、とっとと帰った方が無難だよな…。風邪ひきそうだし。
と、その前に…。

「レイリーたちはどうするんだ?」
ライダー組に戦意があったらまた取る行動が違ってくるんだよな。
さて、どうするんだ?

俺とアーチャーは武器こそ構えないが、警戒を最大限レイリーたちの方に向けている。
ライダーはそれに対応するよう構えているが、レイリーは構えようとしていない。
一見さっきと変わらないように見えるけど、あきらかに肩で息をしているし、疲労感が漂っている。
宝具を使う事がそこまでつらいものなのか。

「……」
と、レイリーは無言で武器をしまいこみ、歩き始めた。

「マスター、どうしたのだ」
「憐」
ライダーの忠告を無視してレイリーはこちらの方を向く。
そして、

「貴方に感謝を」
彼女はこっちに頭を下げた。
一瞬頭が真っ白になる俺。

「魔術師の攻撃から吾を身を挺して守護した。その事」
「あ」
さっきのあれか。結局俺が逆にライダーに救われたんだが。

「別に気にするなよ。あれ俺もライダーに救われたんだからさ」
「だろうな。故に吾もその恩に報いようとはせず」
しれっといい放つレイリー。
なんだか鼻についてむかつく。

「まあいい、行こうアーチャー」
これ以上この場にいても無駄だろう。
ならとっとと家に帰るか。キャスター、ニムエにこの事を相談して今後の事を決めなきゃな…。

「憐」
「ん?」
立ち去ろうとした俺にレイリーがそう話しかけてくる。
…まさかまた戦おうだなんて言うんじゃないだろうな。

「瑪瑙が魔術師が出現したら貴方を呼ぶよう言っていた」
「…!」
瑪瑙がそんな事を?
だとしたら瑪瑙はあのキャスター(?)の事を知ってるのか?

確かに正体不明のサーヴァントの事を知りたいのは当然だ。
情報こそが勝敗を分けることだってあるんだから。

「だが断る」
「「…!?」」
でも俺はこう断言した。
あ、レイリーだけじゃなくてアーチャーも驚いてる。

「もう瑪瑙と俺とは赤の他人。サーヴァントの正体ぐらい自分たちで探れるし、どうせまた双魔の事で色々と言われるんだからな」
「否、憐にも関係がある事故」
え? 俺にも関係がある事?

「あの魔術師は遠坂の負の遺産」
「遠坂の…負の遺産だって?」
負の遺産? 遠坂の祖先が残した負の遺産って…あの死の少女、キャスターがか?

「それってどういう事…!」
「知りたくば遠坂邸へ。憐もそれに向かわねばならない」
「……」
遠坂の負の遺産か…。
どんな事情があるにしろ俺にはもう関係がない事なんだが…。

「…分かった。行けばいいんだろ?」
だけど瑪瑙、今の遠坂の当主が俺にそう言うなら仕方がない。
俺もこの地に住む魔術師なんだから。

「明日の午後でいいか?」
「否、可能ならば今すぐ」
「……」
今すぐ遠坂邸にか。
この地に滞在する許可をもらいに行って以来行ってないな。
ここは…。

「…分かった。行こう」
もうバーサーカーとキャスター(?)がどうこうする事はないだろう。あれだけ痛めつけたし。
ディートには悪いけど、キャスター(?)の事は知っておく必要もある。

「ではあらかじめ言いたき事がある」
「言いたい事?」
そしてレイリーはこの事を口にした。

「あの魔術師は元は遠坂の従者」

「な…なんだと…!?」

「あくまで元、だ。今は不明」
だから負の遺産ってわけか。
なるほど…確かにこれなら…。

「そなたにも関係ある事」
そう言うとレイリーはライダーと共に立ち去る。


「遠坂憐」


こう言い残して。

「遠坂、憐?」
アーチャーはこっちの方を向いてそうつぶやく。
まあ当然かな驚くのは。話してなかったし、話す気もなかったからな…。

「ああ、元は俺遠坂の家にいたんだ」
「じゃあ双魔とは…」
「双魔は俺の兄、瑪瑙は俺の妹。兄妹さ」
そう、俺達は兄妹だった。
家族が魔術師だったとは知らなかったけど、それでも俺は幸せだった。

あの時までは。

拳を握り締める俺。
今でも鮮明に思い出せるあの時の光景。

「遠坂邸に行くまでの間で話すよ」
「そうか、また秘密にするんじゃないかと思ったぞ」
「んな馬鹿な」
ちゃんと話すって。ここまで来たんだから。

俺は歩きながらも話を始めた。


   /

 まず俺は遠坂の次男として生まれた。
上に長男の双魔、下に長女の瑪瑙。
当然魔術師の家系なので双魔が後継者として育てられ、俺たちは何一つ魔術関係の事を知らされていなかった。
両親も魔術師、その上も魔術師、先代の祖母もまた…。
それでも兄弟の仲はとても良くて、よく双魔も俺たちと遊んでくれた。

俺は家族の中でも祖母が特に大好きだった。
あのヒマワリのような人が笑ってくれれば嬉しかったし、悲しそうだったら悲しかった。
その祖母ににほめてもらう事が俺にとって一番嬉しかったけど、俺はある時そのほめが表面的なものと気づく。

衝撃的だった。
誰から見ても心底から喜んでもらっているように見えても俺にはそうは見えなかった。
だから俺は何かで優れてればおばあちゃんにほめてもらえると思って、百目木の道場に通いだした。
そこで知り合ったのが姐さん事沙耶さん、そして師範こと一成さん。

でもいくら強くなっても心からほめてもらう事はなかった。
何をすればおばあちゃんに喜んでもらえるか、心から笑いかけてくれるか。認めてくれるか…。
でもそれは無理だったのかもしれない。

祖母、いや、先代はあくまで魔術師だったのだから…。

いつもの葛藤で過ごしていたある時、1人の人物と出会う。
手品を披露するその人は俺にとっては魔法使いだった。

「はい、この箱にはタネも仕かけもございます」
が前口上で始まる手品。
当然手品なんて見たことない町の人達は異教徒の魔術師だと恐れるけど、その人はあっさりと種明かしをする。

「この世に魔法なんて数は少ないのさ。他はみんなタネも仕かけもあるんだ」
そう彼は悲しそうに言っていつもしめくくる。
俺はそんな彼にとりこになった。

連日俺は彼の手品ショーに通う。
役人に捕らえられようとしてもあっさりと逃げおおせる。

「マホー使い…」
いつしか彼にあこがれるようになった。
あんなふうに僕もできればおばあちゃんもきっと…。

そんなある日、役人の取り締まりも厳しくなってきたのか客はものすごく少なかった。
そんな中、彼は俺にこう言う。

「君、僕と一緒に数少ないマホーを目指さないかい?」
子供だった当時の俺は当然本当の意味は分からなかったけれど、とてつもなく嬉しかった。

その人、すなわちサー・エドワード・グリーンウッド。
俺の魔術の先生で大師父の弟子。
もう亡くなってしまったけど、今から思い出してもおもしろく、尊敬する人だ。

「僕の夢はね、起こりうるあらゆる事を想定してみんなを平和にしちゃおうって事なんだ」
彼はこんな事をあっさりと言ってのけていた。
今から考えれば第二魔法で平行世界を調べ上げて最善の未来にこの世界を導くって事だと思うけど。

「じゃ、保護者から許可もらわなきゃね」
と言ってその日のうちに先生は遠坂邸を訪ねて交渉を開始した。
同じ大師父を師に持つ者、当然それはあっさりと通ったわけで。

魔術師の子供のなかで跡継ぎ以外は幼いうちに養子に出されるか弟子入りされるか、または普通に育つかのどれかだ。
魔術回路を受け継いでるんだからそのまま一般人になる事は惜しまれているから前者がよく取られる。
俺もその例にもれなかった。

「おばあちゃん! ボクせんせいからマホーおしえてもらうことになったよ!」
その前に俺はこう言って家に入っていった。
自分たちの事を知られたのか、それとも自分たちとは別の魔法の事なのか、とにかくあまりいい顔をしなかった事は覚えてるけど。

「憐、その相手は誰なんだ?」
父さんがこう言ってきたので俺は

「さー・えどわーど・ぐりーんうっど、だっけ?」
と言ったら家族はひどく驚いていた。
極東の魔術師の家に本国の魔術師がそう言ってきたんだから当然かもしれないけど。

「憐、がんばるんだよ」
俺はその時始めて心のそこからの祖母の喜びを感じた。
それが俺にはどれだけ嬉しかったことか。

でも、あの事件は起こってしまった。

先生は日本の対魔機関に交渉をして出国の手続きを行ったので出発は遅れていた。
俺はわくわくしながらも百目木の道場にかよっていた。
でも、帰った俺が見たものは…口ではとても言い表せない。

おばあちゃん、父さん、住んでたお手伝いさん。みんなみんな死んでいた。

何が起こったかは今も分からない。
でも、その破壊の跡の中央にアイツはいたんだ。

遠坂双魔。俺の兄。

あの時の双魔を決して忘れない。
俺は、あいつを許しはしない。

双魔は去って俺と瑪瑙は重傷を負った。
かろうじて生き残った母さんは俺を遠坂の後継者にしたかったらしいけど、俺の道はもう決まっていた。
数日後に俺は先生と共に日本を離れた。

英国での暮らしは日本よりもよくなかったけれど、それでも俺は満足していた。
何より俺には先生さえいてくれれば十分だった。

先生が亡くなったとき俺がもらったのは兄弟子より明らかに少ない宝石と魔術用具、そして書物。
でもどれよりも俺が嬉しかったのはグリーンウッド=真木の姓をもらった事だった。

「先生、僕が先生の苗字をもらうことなんて…」
「君だからもらってほしいのさ。親戚はいるけど子供はいない僕にとっては君は子供のような存在だからね」
俺の中では父親よりも父親らしく、一番尊敬している人、先生…。

「でも兄弟子たちは…」
「彼らには僕の遺産を全部あげちゃったよ。君に残してやれるのは絆ぐらいだ」
「先生…」
俺にはとても嬉しかった。
何よりも俺が一番欲しかったものをもらったんだから…。

 で、帰ってきたのは2年前。
先生がいない英国に未練はなかったし、いい機会だったから。
そこでもう母さんは死んでいて遠坂を継いだ瑪瑙と再会し、葵や英ねえと出会う。
そして今に至る。

祖母、先生、英ねえ。
俺は様々な人と出会い、別れてきた。
今いる人たちとも別れが来るかもしれないけど、俺は精一杯生きていく。

双魔が何をたくらんでいるかは分からないし、今は知りたいとも思わない。
それでも俺はあいつとは決着をつけなきゃならない。
遠坂の人間としてではなくて、1人の魔術師として。

そして…あの笑顔が素敵な女の子。

「ディート…」
俺は彼女のためにも絶対に勝ってみせる。
必ず…。


   /interlude

「はあ…はあ…」
ジョルジュは尻を地面につけた。
聖杯戦争始まってから執拗に追いかけ回すライダー組とアーチャー組。
自分自身もバーサーカーも連日の戦いでもはや精神も肉体も魔力も限界にきていた。

「ぐ…」
誤算なのはここまで魔術師らしくない奴らが参加している事。
極東の地でやる事なんかにいちいち魔術協会がからんでくるとは思えず、多少の無理はきくかと思っていた。
だがここまで自分たちを追いかけてくるとは。

「なぜ他のランサー達を狙わん…!」
それはランサーやセイバー達に比べれば劣っているにもかかわらず積極的で、街の人の事をかえりみない事にある。
ようは自業自得なのだが彼がそれに気づく事は一生ないだろう。

「それにしても…」
問題はあの謎の少女。
ジョルジュが受けた印象は死ではなく恐怖。
なぜ彼女は自分たちを助けたのだろうか?

「まあいい…」
現実は、自分たちはまだ生き残っている。
バーサーカーは昨日よりはいい状態になっている。

この際餌を得て短期で回復するより様子をうかがって長期の回復を待つ事にしよう。
そしてライダーやアーチャーに復讐を。

「カカカ…。今の状態になろうともあきらめようとせぬか…」
不意にそんな声が響き渡る。
ジョルジュは立ちあがった。

「だ…誰だ!?」
「うろたえるでない。すぐ後ろにおるわ」
彼はすぐに後ろを向く。
いつの間にか現れていた小柄の老人。
和服を着込んでいるのを見るとこの国の人物か?

「誰だと聞いているのだが」
なるべく冷静をよそおうとするジョルジュだったが動揺は明らかに隠しきれていない。
それを老人は笑う。哂うではなく。

「ゾウケン・マキリと言う」
さも当然のように老人は述べた。
それにはジョルジュも驚く。

「マキリ! この聖杯戦争を起こしたうちの1つか!」
「いかにも」
「ならそのマキリが私に何のようだ?」
と言いながらも彼は臨戦態勢に入る。
マキリなら確実にサーヴァントを所有しているはずだから。
だがマキリを名乗った老人はさも遺憾なような表情をする。

「なに、バーサーカーが助かったようじゃからねぎらいにきてやったのじゃよ」
「ねぎらいに…?」
そしてジョルジュはある結論に至る。

「まさかあの少女は貴方のサーヴァント…?」
「カカカ、いかにも。アレはわしのサーヴァントよ」
このタイミングでのねぎらい。それは動いた当事者か観察者にしか分からない事だ。
だからカマをかけてみたが当たっていたらしい。

「それは礼を言わねば」
「カカカ、そのような堅苦しい事をせんでもよい。わしとてお主に礼を言わねばならんのじゃからな」
「?」
首をかしげるジョルジュ。
礼を言われることなど何一つやっていない。
ならなぜ?

「バーサーカー、水属性の神代の怪物。よくぞそのようなものを召喚してくれた」
「当然だ。私は優秀な魔術師なのだからな」
誇らしげに言うジョルジュの頭からはその疑問があっさりと薄れてしまった。
だが、それが彼の運命を分けた。


「ゆえにそのバーサーカー、すまぬがいただかせてもらうぞ」


その言葉と同時にジョルジュの肩に手が乗っけられる。
その正体は先ほどの少女だったがジョルジュがそれに気づく事はなかった。
なぜなら、


喰らうは万物の源バラ・スティル


もはやその時にはジョルジュの命はなかったからである。

水が彼をつつむとジョルジュは生命を略奪された。

魂を喰らい、それを糧とする。
それがこの歪められた前回のキャスターの宝具だった。
かつては尊い英雄だった彼女にもはやその面影は残っていない。
ここにあるのはただの躯だ。

「カカカ…」
そしてジョルジュの全てを喰らった事でキャスターに令呪が浮かんでくる。
新たなる契約として3つの令呪が戻っていて、契約は成立した。

バーサーカーは助けようと思えばジョルジュを助けられた。
彼女がいた位置はジョルジュの真後ろ。キャスターの接近には数秒前には気づいていた。
だが彼女は己のマスターを守ろうとはしなかった。

理性ではなく本能で悟った。
こちらについた方が自身は生き延びられる、と。

ゆえの見殺し。
ジョルジュは存在の跡すらなく消え去った。

「ゆくぞキャスター、バーサーカー」
膨大な魔力と水の加護でスキュラの傷も回復速度を増している。
3人はその場をあととした。

サーヴァントは全て健在。だがマスターの脱落はある。
不可抗力だがここに全サーヴァントが遠坂、アインツベルン、マキリのいずれかに関わっている図式に戻ってしまった。

interlude out



to the next stage…


ステータス情報が更新されました

第17話に続く

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 4日目終了。マスターの脱落者がでてもまだサーヴァントは脱落せず。ペース遅いですね…。

 憐が遠坂の者という設定は憐を書いていた時から既に決めていました。
双魔とは向かう方向は何となく同じなんだけれども、目指すものが全く違うが故の対立、それを書こうと思っているからです。
 むしろ瑪瑙がいなかったです、当初は。レイリーはいたのですがセカンドオーナーの代理としたのは多少後の方です。
別ルートを考えた時には彼女もマスターになってるのですがね。
 でも壮大な兄弟げんかで終わりにしたくはないです。そこをうまく表現できるかどうか…。

 バーサーカーのマスタージョルジュ、リタイアしました。
一週間前までは当初の設定のままにそのままマキリと手を組むはずでしたが、 よく考えたらあの老人がそんな事する人か、と考えてバーサーカーだけを生かすことに。自分はこちらの方が納得いっています。

 これで前キャスターと黒づくめのちょっとした事を書いたらいよいよ前半終了の戦闘開始。長いよ…。
では。
  2006年10月26日


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