/

 さて、生きるとは何だろうか?
と言うより生きるのに最も必要な事は何だろうか?

 人生の目的、確かにそれも大切だろう。
かけがえのない人物、彼らも確かに必要だろう。
だが今俺の考える限りではそれらではない事だけは確かだ。

「はあ…。」
パソコンが主流な時代、俺はそんな中で大学ノートと電卓を片手に、鉛筆や赤鉛筆をもう片手にうなっていた。
ちょっと見るだけでもそのノートに書き込まれているのは赤い文字ばかり、そしてマイナスの棒。
それはもう鮮やかにノートを飾っていて、ある意味芸術とも言えるかもしれない。

 先ほどの続きをしよう。
俺が一番必要だと思うものは、欲だと思っている。最低でも今この時は。
そしてその内の最もかかせないもの、それがこのノートが芸術たるゆえんを作り出していた。

 ぶっちゃけて言うと、食欲だ。
これでも材料とかはやりくりしているけど、そんなのは焼け石に水、どころか神に木の枝を振りかざすみたいなものだ。
うちにいる2つの焼け石、それの食欲は計り知れない。

 とどのつまり、人数が多くなったせい、特にセイバーと藤ねぇのせいで家計が火の車だって言う事だ。
こうなったら心を鬼にして、最終手段に打って出るしかない。





しろうたいせいばー


   /

「てなわけで今日からおかわりは一杯までだな。」
「「な…っ!」」
ナニヲイッテルンデスカー?と物語る目つきでこちらを見るセイバー、俺が何を言っているのか分かっていない藤ねぇ。
いつもはにぎやかな食卓が、その一言で静寂につつまれてるし。
俺は間違った事は言ってないはずだけど…。てなわけで続ける事に。

「料理の質を落とすわけにもいかないだろ。なら量を落とすしかないじゃないか。」
「ふっ、貴様程度の腕で質などとは笑わせる。」
えー、誰かが何かを言った気もするけど、とりあえず無視。
いちいち付き合ってられるか。

「あの先輩、そんなに危ないんですか?」
「ああ、かなりやばい。食卓を囲む人数が増えたこともあるけど、主に2人の食欲が更に増した事が致命的になってる。」
その2人に関してはあえて言わない事にする。てゆうか当の本人以外は誰もがわかってるだろ。

「その2人のうちの1人とは、ごはんつぶをつけて餓鬼のように一心不乱に食らい尽くしている暴食王の事でしょうか?」
「何をバカな事をライダー。食事とは人間誰しも必ず行なう事です。いわば人生の根源でもある。」
いや、人生の根源が食事ってどーよ。

 ちなみに今食事をしているのは、俺、藤ねぇ、桜の元からいたメンバーに加えセイバー、遠坂、アーチャー(俺の作ったときは来ないでやがる。 チクショー)、ライダー、それからイリヤ。
これだけでも家計が墜落寸前だっていうのに、カレンとバゼットが来るからたまらない。
いくらサーヴァントの皆さんがバイトで埋めてくれると言ったって、全部を埋めきれるものでもなく…。
それにこれには致命的欠陥がある。セイバーが何もしていない事だ。

「しかしシロウ!いくら何でもそれは横暴…!」
「セイバー、口の横にごはんつぶがついてるわよ。」
当の元凶が遠坂に指摘されてあわててごはんつぶを取る。
ちょっとあわてるセイバーもかわいいな…って今はそんな事を考えてる余裕はないし。

「てなわけで1つ打開案を考え出したんだが…。」
「へえ、何よ。言ってごらんなさい。」
「遠坂の宝石を質屋のカタに…。」


(現在俺が粛清されています。しばらくおまちください。)


「士郎、もう一度その素敵な発言を言ってみてくれない?」
うわー、真正赤いあくま襲来。英雄もまっさおだー。
てゆうかよく俺病院送りにならなかったな。ちょっと感動。
「話を最後まで聞け。何も遠坂自身に不利な点は何もない。」
「ふぅん。なら言ってみなさいよ。」
「だから遠坂の宝石を俺が投影してそれを質屋のカタに…。」


(現在俺が再び粛清されています。生きてる事を願ってください。)


「ようはお金が足りないんでしょ?だったらわたしが…。」
「悪いがそれはできない。」
イリヤが全てを言う前にその言葉を止める奇跡の生還をとげた俺。
発言を止められてイリヤはかなりご機嫌ななめだ。頬をふくらませてしまう。

「何でよ。」
「これはあくまで俺たちの問題だろ?だからあまり人から協力される事でおさめてしまいたくはないんだ。」
うん、これは本音だ。
いくらこういった団欒がとてもいいからって、それが維持できないからと援助をしてもらってまで続ける意味などない。
だからこそ、俺たちだけで何とか事を収めたいと思っている。
俺のその答えにいささか不満なようだけど、イリヤもわかってくれたようだ。

「シロウがそう言うなら…。」
「ありがとうなイリヤ。」
よかったよかった。

「他に意見は?」
「あー、ちょっといいかしら?」
と遠坂は手を上げる。
あー、何と言うか、今の遠坂の顔は明らかに「今邪魔者がいます」みたいな感じなんだけど。

「他のみんなはともかく、こいつらがまだいる事が原因なんじゃないの?」
そう言いながら箸を使っていても優雅に見えてしまう食事をしている男装の麗人バゼットと自分は全く関係ありませんとの顔をしているカレンを 指差す。

「そもそもこいつらがここにいるからこそ赤字になったんじゃないかしら。はやく新居を見つけてもらって出て行ってもらうっていうのは?」
「聖杯戦争終わってもなおここにくる遠坂からそんなセリフが出るとは…。」
限りなく小さな声でぼそっとしゃべった俺。もちろんそんなのが誰にも聞こえるはずもなく…。
ってでびるすまいるでガントこっちにぶっ放してきますよ。でびるいやー恐るべし。アーチャーの嘲笑は知るか。

「仕方がないじゃないですか。まだ住居が見つかってないものは見つかってないのだから。」
「それともこの清廉潔白な私に食費を用意しろと言うのですか?」
どこが清廉潔白だカレン、と言いそうになったけど、とりあえずは止めておこうか…。無駄っぽいし。
てゆうかさわらぬ神に祟りなどない。いや、うちの女神さんたちはそれでも祟りをまきちらすけど。なんでさ?

「本当にすみません。」
と言うのはバゼット。

「したいのはやまやまですけど、定職についていない私の懐事情と相談すると…。」
「いや、あんたまともに定職につく気自体がないだろ。」
「このご恩はランサーが体を売ってでも果たしますから。」
「しかも人任せかよ。」
つっこみどころ満載な台詞は置いといて、事実バゼットから金をいただくのはまず無理だろう。
だとすると…?

「カレン、他人家に居候するんだから聖堂教会から手当てとか支給されないのか?俺たちに。」
「そうですね。あってもおかしくはないんですけど、ありませんね。」
首をかしげていかにも「なんでだろう?」といった顔をするカレン。
あっても彼女の懐に消えてる可能性が高いけどなとも言えず…。

「それに教会なら寄付金とかでしこたま儲けてるんじゃないの?」
と遠坂。
「貴女方のような万年金欠の魔術師たちとは違って、そこまで私たちは金に困ってませんから。」
とカレン。

 あれ?今は冬じゃあないよな?
だって言うのになんでこんなに空気が寒いんだ?

「へえ…言うじゃない。ついでに頭のてっぺん剃って神に近づいたら?」
「格好に関してはご心配なく。ツインテールニーソミニスカの貴女よりははるかにましですから。」

 あれ?ここは日本で、俺の家の中だよな?
だって言うのになんで火山が噴火してる所が見えるんだー?

「えっと、先輩。」
「あ、桜。何か意見が?」
とてつもなく重い雰囲気の2人から桜に意識を移して答える。
助かったーと心から思ったことは言うまでもない。

「さっき質と量の話が出てきましたけど、質を仮に下げるとしたらどうなるんですか?」
あ、それはかなりいい質問だ。
食材費は可能な限り切り詰めてるから(タイムバーゲンとかもちゃんと把握してるし)下げようがないと言いたいのかも。

「例えば国産で買ってた材料が中国産になるとかで材料費を極限まで切り詰めるか、料理を精進料理にして材料費を抑えるか。」
「精進料理?」
あ、セイバー他外国出身の皆さんが疑問詞を浮かべてるし。まぁ、当然かな…。

「あー、肉禁止の仏教徒が肉を食べようとした結果、材料は全く肉を使ってないのに肉の味をさせる料理を作ったんだ。
 つまり、それっぽいニセモノを作るのが精進料理。」
幸い俺とアーチャーにはそれを作る技術がある。
この前試したらこいつの方が腕が上なのが悔しくて密かに特訓したのは内緒だ。

「量より質を落とす…か。それも可能性としてはアリだよな。とにかくそれは今後の見解によってだな。」
まずは質より量を落としてみる。それが破綻したらそっちを試すか…。

「ではシロウ、食費以外の出費を削る事はできないのですか?」
「光熱費とかを?赤字の原因は食事が主なんだから、それ以外でまかなうっていうのもどうかと思うけど。」
分かりました、とライダーは言ってテレビを見続けている。
ちなみに恋愛ドラマなのがちょっとなんだが。バラエティーよりはいいけどさ。

「し…しかしシロウ、それしかないんですか?本当にそれしかないんですか?」
いや、そこまで死活問題ですみたいな顔をして迫られても困るけどなセイバー。

「臨時収入があるなら話は別だけど、今の収入を考えるとそれしかないと思う。」
とキッパリ言っておく。
ここで甘い顔をするとたちまちペースが向こうに移るからな。そこは気をつけないと。

「タイガ、貴女はそれでいいのですか!?」
「セイバー、言っておくが同じ大食らいでも藤ねぇとセイバーでは決定的に違う点があると思う。」
藤ねぇに同意を求めようったってそうはいくか。
それぐらいの事はお見通しだ。

「タイガと私との決定的な違い…!?」
「そう、収入があるかないか。」
「っ!」
そう、この点は決定的な違いだ。断言しておく。
ぶっちゃけて言えば教師やっている藤ねぇからの収入はこちらにとっては大変ありがたいものだ。てゆうかなかったら俺の人生は大変化していたに 違いない。うん、違いない。

「藤ねぇ、今度のボーナスこっちに回せないか?」
「無理よー。ちゃあんと予定が決まってるんだから。」
「こっちのバイトのボーナスもまだだし…、やっぱアインツベルンに頭下げるか…?」
「さっきと言ってる事違うじゃないのよ。」
「いや、でも現状維持したいんだったら…。」
何かさっき断ったのがかなりバカらしくなってきたな。


「あの、私にいい考えがあるのですけれども。」


「「へ?」」
俺と遠坂の間の抜けた返事が思いっきりかぶる。
言ったのはカレン、聖母のような笑みを浮かべているが、俺は騙されないぞ。
あれはとんでもない事を考えた時の表情だ。

「…まあ、一応聞いてみようじゃないの。」
おお、遠坂は言い切ったぞ。勇者の称号を授けて魔王を倒してくれ。
…魔王って誰さ?

「簡単です。ようは貴方は関係のない人物に金を恵んでもらうのは嫌だと、そう言いたいのですね?」
「…まあ、そうだな。藤ねぇはともかく、アインツベルンの人達はイリヤ以外は俺たちの方から訪ねる方が多いからな。
 なるべく俺たちだけで解決したい。」
と言ってもサラ金のお世話にだけはなりたくないし、一成たち知り合いに借りるなんて論外だし。

「でしたら英雄王にセイバーさんが頼めば少ない条件で貸してくれるのでは?」
「な…っ!」「「「おおっ。」」」
その言葉にセイバーは驚愕、凛、イリヤ、バゼットがナイスアイデアとばかりに手をポムと叩く。

「ギルガメッシュにか…。」
確かにあいつの黄金率にかかれば衛宮家の台所事情ごときすぐに解決できるだろう。それは断言する。
でもギルガメッシュの性格から言って…うーん、どうなんだろ?

「そ…それだけは断固として拒否します!私の剣はシロウと共にあるのであって、ギルガメッシュの下にあるのではない!」
「言ってる事は正論ですけど、この家で一番怠けているのは貴女ですよ?」
うあ、カレンえげつねぇし。まぁ、カレンの言ってる事は正論…げふんげふん。

「なっ何を根拠にそれを…!」
「まずシロウ、サクラ、リン、アーチャーは食事を作ったり買い物をしたりとか色々とやってるし、
 タイガはセイバーと同じぐらい食べてるけど定職についてて家計を支えてるし、そもそも私やライダーたちは居候してるわけじゃないし。」
なのに彼女ら専用の部屋があるのはこれいかに?

「バゼットとカレンだって別に四六時中この家にいるわけでもないし、だとしたらセイバーが一番怠惰だよねー。」
怠惰、そのイリヤの言葉に沈むセイバー。
タイタニックでもないからすぐに浮き上がるだろうけど。

 と、ライダーがセイバーの肩をたたき、眼鏡越しにカレンを睨みつける。

「カレン、そこまでする必要はないです。ただセイバーにも少し働いてもらう、それでいいじゃないですか。」
「ライダー…。」
おおっ!何かいつになく事が静かに終わりそうな雰囲気!?

「まずはメイド喫茶あたりから。」
「ライダー、おまえもか!」
結局かき回すだけだったか…。シーザーとはこんな感じだったのか?

「シロウ、貴女はメイド姿のセイバーを見たくはないのですか?」
「いや、見たいかどうかは別問題として、もっと別のバイトだってあるだろ?」
「しかしその『別のバイト』が長続きするとは思えないのですが?」
「う…っ!」
とてつもなくごもっともな意見で…。

「ライダー、言いすぎよ。いくらセイバーでも何かしらできるバイトが…。」
「ではサクラ、その具体例を1個でもいいので挙げていただきたい。」
「え…?えっと…。」

「……ふ……ふふふ……。」
そんな会話が続く中、セイバーが突然不敵に笑い出す。
はっきり言ってとてつもなく怖い。

「セイバー…?」
「つまり…、ここにいる者たちは私にギルガメッシュの元に下れと言い、シロウまでもが私から食を奪おうと言うのですね…。」
「いや、そんな事は…。」
「いいでしょう。あなた方の意見に従いましょう。」
「「「「「「「「へ?」」」」」」」」
藤ねぇ以外の全員の疑問詞が見事のかぶる。アーチャーまでもがハトに豆鉄砲状態だ。
セイバーが提案のOKしたー!?そんな天変地異の前触れが…!

「ただしっ!」
と思った次の瞬間、セイバーは立ち上がっていた。
その姿は遠坂のあげた私服ではなく、完全武装の上、剣は風王結界が解かれているオマケつき。
あー、これで後で藤ねぇに何て言ってごまかそう。

「どちらの提案になるにしろ、私の剣を超えてからにしていただく!無論シロウとて例外ではない!」
剣先を俺のほうに向けて悠然と自論を展開するセイバー。
さすがカリスマスキル搭載。説得力はあり、聞くもの全てを納得させるけど、それを食事のために使うってどーよ?

「ふぅん、それって一対一でセイバーと戦って、勝ったらどちらか一方を許すって事?」
いや、悪乗りしないでくれ遠坂。

「我が剣にかけてそれを誓おう。」
いや、セイバーもやる気満々ですか?

「じゃあ後よろしく士郎。」
え?

「未熟者であるからとて、骨ぐらいは拾ってやるぞ。」
ええ?

「えっと、がんばってください先輩。」
えええ?

「シロウなら必ずやセイバーを倒せますから、ファイト。」
ええええ?

「まあ、何かをする時には犠牲はつきものです。がんばってください。」
えええええ?

「ってちょっと待てよ!何で俺なんだよ!セイバーとまともに戦って俺が勝てるわけないだろ!」
「不可能を可能にする、それが魔術師よ。あきらめなさい。」
他人事だな、遠坂。

「アーチャー!ライダー!おまえらの方が俺よりはるかに強いんだから…!」
「未熟者、赤字の家計簿で溺死しろ。」
「シロウ、すみませんが貴方の力にはなれない。食事がからんだセイバーに私はかなわない。」
さりげなく爆弾発言を言ってくれますなお2人さん。

「バゼット!イリヤ!何か言ってやってくれよ!」
「え?衛宮くんにおまかせするのは至極真っ当な事だと思いますけど?」
「だからセイバーとか置いといちゃってさ、アインツベルンの屋敷に来なさいよシロウ。」
…なんだか周りから楚の歌が聞こえてくるなー…。


数分後、当然の事ながらボコボコにやられた俺がいた。

   /

「てな訳なんだよ…。どうにかしてくれ王さま。」
「何を戯けた事を…。」
公園のベンチ、包帯まみれ兼頭をかかえて座っている俺、隣にはアロハシャツがよく似合うランサー、その隣に意外と地味なジャケットを着た ギルガメッシュがいた。
たまに通りすぎる女性がちらっとこちらを見るのはランサー達のせいだろう。うん。

「あー、なんだ?つまりセイバーの嬢ちゃんはこいつとメシについて妥協はしねぇからってそんな事を?」
ランサーがやれやれといった感じにそう言ってくる。
俺はこくりとうなづいた。

「そうなんだ…。俺を見れば分かるけどそれでこんな感じに。」
「それ無謀じゃねぇか?」
「俺もそれは分かってる。」
何しろ相手は人類史上で最高の英雄で、最強のサーヴァントであるセイバーなのだから、ただの魔術師である俺がかなうはずもない。
しかもセイバーはメシの事がからむと手加減と言う言葉がどっか行ってしまうようで、さっきも3分持たずにやられたし。俺ってカップラーメン やウルトラマン以下?
…まあ、最高の英雄が本気でかかる理由が食事と思うと涙が出てくるんだけど…。

「でもセイバーの食事制限をしないと家計が…。あれ?涙が…。」
「…そっちも苦労してんだな…。」
うんうんとうなづくランサー。そっちのマーボーよりはマシな悩みだと思うけど。

「それで坊主、あのセイバーに勝つ手段は考えてんのか?」
「ああ、それについては考えてある。はっきり言って俺がどれだけ強くなろうともセイバーに単独では勝てそうにない。だからセイバーの方に
 弱くなってもらおうと思う。」
「セイバーの方に弱くなってもらう?」
なに言ってんだこいつ、ランサーはそういいたそうな顔をしてるし。
まあ、当然か…。出来るもんなら聖杯戦争でやってただろうし。
あくまで普通の手段なら、だけどね。

「キャスターに協力してもらおうと思ってる。あくまで俺1人で戦うんだけどな。」
てなわけでランサーとギルガメッシュに作戦を耳打ちする俺。

 一分後、なんか2人の俺を見る眼が言峰を見る眼と同じみたいなんだけど…。

「坊主…、そこまで落ちちまったか…。」
「雑種、道を誤るとは情けない。やはりセイバーは我にこそふさわしい。」
「いや、だって普通に考えてセイバーに勝つなんて無理だろ。」
「だからってそれはねぇだろ。」
否定はしない。てゆうか出来ない。俺だってこんな状況じゃないなら使わないだろうし。
                                                             ロ ー ア イ ア ス
「問題はあっちが本気を出してきた時、夫婦剣じゃあ心もとないんだよな。宝具放たれたんじゃあ熾天覆う七つの円環でも防ぎきれないし。
 かと言って同じ宝具を出すことは出来ないし…。」
「たかがメシくらいで宝具ぶっとばしたりはしねぇだろ、さすがに。」
「いやする。絶対にする。」
料理のためなら俺だろうとマーリンだろうと神だろうと絶対にやる。何なら賭けをしたっていいぐらいだ。
てゆうか俺自分が宝具を投影できることを大前提で話進めてないか?
          エ ク ス カ リ バ ー
「つまり、我に約束された勝利の剣にも勝る、または劣らない宝具を出せと?」
「いや、あくまで俺の戦いだから見せてくれるだけでもいい。頼む!人助けだと思って!」
言ってる事は完全にむちゃくちゃだけど、そうしないと本当にサラ金の世話になる以外ないんだー…。
て言ったってあれにかなう宝具なんてエアぐらいしか思い浮かばないんだけどな…。

「でも多くある宝具の中には一撃ぐらいあれに耐えられるものぐらいあってもおかしくはないと思うんだよな…。それさえどうにかできれば
 勝機はあると思うんだ。」
「やたらとご都合主義的な理論だなオイ。」
ランサーの言葉を否定はしない。俺だってご都合主義の主張じゃないとセイバーに勝てないぐらい分かってるし。

「貴様が使えてセイバーの宝具に勝るまたは劣らない宝具など存在するものか。戯けが。そんなものがあったら…。」
ギルガメッシュの台詞が止まる。そして腕を組んでなにやら考え出す。
そして…。

「…無いこともないな。」
「「えっ!?」」
俺とランサーの台詞がかぶる。
って本当にそんな宝具が存在するのか!?
                                              エ ア
「と言うかアレは敵に突破されない事に特化したものだからな。たとえ我が乖離剣でも破壊できるかどうか…。」
「あの宝具でもか!?」
「ただしそれは使用する力量がものを言うからな。せいぜいあがくがいい。雑種。」
               ゲート・オブ・バビロン
そう言うとギルガメッシュは王の財宝から1つの剣を取り出す。
その剣は…!

「これは…!」
「てめぇ、こればかりは持ってなかったんじゃなかったのかよ。」
「たわけが。まなこを見開いてよく見るがいい。これはアレではない。」
その剣は他のどんな宝具よりも眼に焼きついて離れず、神々しく、美しい。正に人類史上至高の一品。
だけどほんの少しだけ違う…?

「一体あれと何が違うんだ?解析しても『どこかに微少の違いがある』程度にしか分からないのに。」
「こればかりは宝具の名を唱えて使用せんことには分かるまい。ようは使いようだな。」
でも確かにこれなら作戦次第でセイバーに勝てるかも…?

「せいぜいあがけ、雑種。どう転ぼうが我の知ったことではないがな。」
くくっと笑うギルガメッシュのつぶやきはとうに俺の耳には入っていなかった。

   /interlude

「で?狙いは何だ?」
士郎が立ち去っていく姿を眺めながら、ランサーはギルガメッシュに対して言い放つ。
ランサーにとっては今のギルガメッシュの取った行為は意外以外の何物でもなかった。

「狙い、とは?」
「とぼけんなよ。てめぇが坊主のために宝具を見せてやるなんてどう考えたって裏があるだろ。」
しばしの静寂、だがその問いを予想していたのか、うんざりしながらギルガメッシュは答える事にする。

「それは考えすぎだ。まあ、あえて理由を言うならば、『それだけ暇だった』ぐらいだな。」
「…まあ、確かに暇だな。」
と、ランサーは何か面白い事を考え出し、ギルガメッシュの方に顔をむける。

「賭けしねぇか?」
「賭け?」
ギルガメッシュの眉が少し動く。だがすぐに興味なしとのしぐさをする。

「坊主がまた負けてここに戻ってくるか、セイバーを見事に倒すか、で。」
「そんなもの意味がない。賭けなど成立せんからな。」
「ちなみに負けたら泰山のマーボー完食な。俺はまた戻ってくる方に。」
「だから賭けなど成立せん。我だってセイバーに雑種が勝てるとは思えん。」
「はあ?」
ランサーはギルガメッシュの台詞に疑問を持つ。なぜならあの宝具はセイバーの宝具に勝るとも劣らないシロモノに見えたからだ。
更に士郎から作戦を聞き出していたし、勝てなくもないはずだが…。

「なら何で宝具見せたんだよ。」
「いや、あがく雑種に純粋に興味をそそられた、それだけだ。」
「そそられた…ねぇ。」
くくっと笑うギルガメッシュに呆れるランサー。

「坊主、これで人生終わりかな…?」

interlude out

   /

「セイバー、おやつ買ってきたぞ。一緒に食べよう。」
「おやつ、ですか。それではありがたくいただきます。」
言い方は上品だけど、俺の持ってきた袋をひったくるように取るのはやめてくれセイバー。
ちなみに中に入っているのはシュークリームだ。周りのころもの部分がさくっとしていて普通のシューとは少し違う。

「ダメダメ。1人1個なんだからちゃんと分けないと。」
「1人1個…ですか…?」
いかにも残念そうな顔をするけど、俺はそんなんじゃあ騙されないぞ!うん、騙されないぞ!

「気に入ったら後でまた買っておくからさ。でもその前にやりたい事があるんでね。」
「やりたいこと、ですか?」
一応全員分のは買っておいた。今家にいない桜やライダー達はデザートとして食べてもらえれば十分かな。
だからこの場に居るセイバーやイリヤたちの分のを皿に乗せ、テーブルに置いていく。

「セイバーとの再戦。」
「再戦、ですか?」
結末など分かりきっているのに、明らかにそう言いたそうだなセイバー。
だが俺だってただやられてるわけじゃないぞ。そのための秘策は考えてきたし。

「そうだ。このまま『食費がかさんで破産しました。』なんて新聞に出たくはないからな。」
「はあ…。」
とりあえずの返事をしながらセイバーはシューを口に入れる。
そしてぱああっと表情を輝かせる。

「口の中でとろける甘さのクリーム、さくさくとしたころも、十分に堪能させてもらいました。惜しむのは量が足りない事でしょうか。」
まだ言うか。今の家計の状況を踏まえてなお。

「じゃあ行こうか。道場へ。」
「分かりました。」
俺も口に含んでとっとと道場へと足を進める。
決戦の時は来た。


 てなわけで俺とセイバーは道場内で向き合っていた。
互いに私服のまま、持っているのは竹刀のみ。ただし俺は小太刀二刀流、セイバーは中段の構えだ。
ギャラリーはイリヤ、バゼットとカレン、そして偶然帰ってきた遠坂だ。
アーチャーの奴は「分かりきった結末を見るのは時間の無駄だ。」とか言いやがったけど気にしないことにする。

「ルールはどちらかが敗北を認めるか気絶するかで決する、それでいいか?」
「かまいません。むしろ私に一発でも攻撃できたら敗北を認めますけど?」
あくまで余裕だなセイバー。だがそれがいつまで保つか…。

「士郎、そんな分かりきった勝負やっても…。」
「遠坂、勝負は時の運だ。そして運は自らが引きこむものさ。」
つまり、実力を埋めるものが俺にはあるって事だ。

「それじゃあ始めましょうか。シロウ。」
「ああ。セイバー。」

 俺の意識は遠坂たちをシャットアウトして、全てセイバーに向けられる。
いくら食事がかかっているからと言っても、2日前の勝負で俺の実力を察したのか、いささか余裕が感じられる。
そして彼女からは打って出てこない。これも余裕の表れだろう。

 つまり、「先手をゆずりましょう。私が負ける道理などありませんから。」か。

「所でシロウ、今からでも遅くありませんから、防具でも着けたらどうです?」
「ご忠告ありがとう。でも必要ないよ。」
今の台詞も完全に俺がセイバーに勝てるはずはないとの自身から来るんだろう。
でも今の俺にはそれはとてつもなく好都合と言うもの…。

「でもこのままじゃあラチがあかない。行かせてもらうぞ!」
その言葉と同時に俺は飛び出し、セイバーとの間合いを一気に縮める。

 小太刀の特徴は小回りがきき、二刀持つことで利便性が増す事だ。
一方を防御、一方を攻撃といった器用な事も可能で、一刀に比べて片手であるせいか力が足りないけど、それを補うものがある。
が、欠点は剣に振り回されないために間合いが短い事だ。セイバーの竹刀の射程からは俺の剣はとどかない。

だから攻撃範囲に入り込むためにひたすらに撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ!
でもセイバーはそれをそらす受け流す受け止めるかわす!

つまりセイバーには一発も攻撃が入っていない上にセイバー自身は攻撃をしかけてこない!

「くっ!」
「スキだらけですシロウ。」
竹刀だって言うのにその太刀筋は閃光のように見え、セイバーの剣が俺のわき腹を襲った。

「ぐぅっ!」
声にならない悲鳴をあげて俺はセイバーから間合いを離す。と言ってもセイバーなら一呼吸で攻めてこれる範囲だけど。

「必死になるのはかまいませんが、それで精細を欠くのはどうかと思いますけど。」
「そうやってこの前は負けたじゃないか。戦法を変えないとこの前の二の舞だからな。」
と言ってもそんな小細工が通じる相手ではないけど。

 セイバーはふう、とため息をつくと再び構えをとる。

「いいでしょう。それでは理想を抱いて溺死なさい。」
「アーチャーのパクリかよ。」
セイバーは本当に一呼吸で俺との間合いを縮め、怒涛のラッシュをしかける。
だがその動きに一切の無駄はなく、全てが精錬されている。
その一つ一つをかろうじて気絶や動きの遅延につながるダメージを負うものとそうでないものに振り分け、それによって対処していく。
もう防御だけで一杯一杯だ。

「シロウ。防御だけでは私は倒せない。」
連撃中も余裕の表れか、または純粋に忠告か、とにかくセイバーはそうつぶやく。
確かに防御だけでセイバーは倒せない。スタミナだって明らかに向こうの方が上。
現に連撃しているセイバーより俺のほうが先にスタミナがあがってしまうだろう。

 だがそれは何もしていない時の話だ。
そろそろ時間のはずだ…。

「いや、防御だけでも十分に勝機に近づく。後は時を待つだけさ。」
「?」
セイバーは連撃を止めて若干の呼吸をおく。
次に来るのは、間違いなく俺を倒す攻撃だ。

「ではその時が来る前に終わらせましょうか。」
うっ…!まずいぞ。本当にセイバーの言うとおりになってしまうかも…!
なら仕方がない。プランAが成功する前にプランBを実行に移してしまうか…!

「覚悟!」
       トレース  オ ン
「――――投影、開始」

セイバーの放った一撃は、正に俺を気絶させる事のみに特化した一撃だ。
右の剣でもダメ、左の剣でもダメ、セイバーの一撃を防ぐには時間がない。
なら俺は気絶させられるだろう。

それを阻むものがなければ。

「なっ…!」
驚愕の声をあげるセイバー。
みんなも違いはあれど、驚いているようだ。

まあそれも当然、俺を覆っているのは全身鎧なのだから。

「それは…!?」
「防具をつけていいって言ったのはセイバーじゃないか。だからさ。」
材質は強化プラスチックとか鉄の鎖とか、ようは動きやすいように軽量化したもの。宝具どころか魔術は全く使っていないものだ。
それでも竹刀の威力を殺すには十分。

「士郎、あんたそこまでして勝ちたいの!?」
「遠坂、今俺にあるシンプルな考えはたったひとつ、『家計簿をプラスにする』、それだけだ。過程や、方法は…。」
全身鎧であろうと弱点はある。間接部分などがそのたぐいだ。
だからと言って竹刀でそれを突破する事はまず無理。
つまり、セイバーは打つ手が大幅に制限されたわけだ。

「どうでもよいのだぁーーっ!」
某吸血鬼と同じような台詞を言いながら攻めに転じる俺。動きは多少遅くなったけど、それでも十分。

 俺の攻撃は相変わらずセイバーに全て当たらない。いや、当たっても多分気絶には追い込めないだろう。
一方のセイバーは俺の攻撃を全て対処しながら攻撃を仕掛けるけど、全身鎧に阻まれて決定的なものにはならない。

「う…っ!」
その時、セイバーの動きが急に鈍くなる。
これはもしかして、時が来たか?
なんにしても、勝機――!

「もらった!」
最小限の動きで最大限の攻撃を行なう俺。セイバーの剣を左で受け流し、右でセイバーに攻撃を行なう…!

「やった!」
ついにセイバーの頭に俺の攻撃が直撃する!
気絶に追い込むものではないけれど、これで勝負は…!

「ぐっ!」
「うおっ!」
が、セイバーは突きで俺の体を押し、間合いを強制的に広げる。
つまり、これは…。

「セイバー、一発でも攻撃を当てたら敗北は認めるんだよな?」
「シロウ、貴方は一体私に何をしたのですか…!」
ぎりっと歯をこするセイバー。その眼は明らかに敵を見る眼だ。

「何って、さっきのシューにキャスター特性の下剤を…。」
「「「「下剤!?」」」」
遠坂たち四人のギャラリーの声が思いっきりかぶる。
うん、予想通りの反応。

「いや、まともにやっても勝てそうにないからセイバーを弱くする道具を作ってくれって頼んだら有無を言わさずそれをくれたから…。」
「士郎、今のあんた、果てしなく黒いわよ。」
「俺も自覚してる。」
うん、多分言峰とか黒い桜以上に黒してると思う。
でもそれだけ家計がピンチっていうのを分かって欲しいです、はい。

「ひ…卑怯です!貴方はそれでも…!」
「セイバー…、俺確かに言ったよな。過程や方法はどうでもいいって。大体俺少しなめてみたけどあの薬、味がへんだったぞ。
 セイバーなら気づくかなーって思ったんだけど。」
「くっ…!どおりで少し甘さが足りないと思いました…!」
なら気づこうよそこで。

「なら少しお手洗いに行かさせてもらいます。」
「うんいいよ。試合放棄って形で。」
「っ!」
「そうなったら俺の勝ちだよな。」
セイバーの顔が見る見るうちに青ざめていく。よっぽど切羽詰ってるのか?

でもこれでセイバーの勝つチャンスは少なくなったな。時間を稼げば俺の勝ちは決まったも同然だし。

「ふ…ふふふ…。」
と、何がおかしいのか、急にセイバーは不敵に笑い出す。

「セイバー?」
「シロウ、貴方だけは信じていたのに、裏切られるとはこれを言うのですね。」
「なんでさ。死力をつくして戦うと誓ったじゃないか。」
「それでは…。」
次の瞬間、セイバーは魔力を展開、服は鎧に、手にするは竹刀ではなく最高の剣に、体を覆う気配は英雄のそれへと変化する。
って俺命のピンチ?

「こちらも死力を尽くしましょう。」
「って1人の人間相手にサーヴァントが本気を!?」
「問答無用!」
先ほどとは比べ物にならない気迫でセイバーが俺に迫る。

 とっさに竹刀を強化するけれど、宝具の前には文字通りただの棒に過ぎず、たったニ撃で竹刀はその役目を終え、真っ二つに斬れてしまう。
もう片方も同様、つまり俺は丸腰になってしまう。
       トレース  オ ン
「――――投影、開始」

 撃鉄が落ちる印象を持ち、俺を覆う全身鎧が別なものに変化する…!

「えっ!?」
「なっ!!」
今度こそ誰もが驚愕の声をあげた。
て言うか正直作戦の中にはあったけどぶっつけ本番で初めて成功したし。
そう、俺が身に着けているのはあの英雄王、ギルガメッシュが身に着けている黄金の鎧…!
てゆうか聖杯戦争の時これが投影できてたらさぞかし楽になっただろうに、なんでこんなくだらない事で成功するんだー。 そもそもこれ投影可能だったっけ?

「シロウ…、貴方は…!」
よし、これでいくら本気のセイバーと言っても数撃は対処できる。
だけど防御面で特化しても攻撃が出来ないのでは話にならない。ならば…!
       トレース  オ ン
「――――投影、開始」

 そうして現れた剣は、再度のセイバーの剣での攻撃をはじきとばす。
それは、一見すると全くもってあるものと同一のものだ。

「そ…そんな…!」
そう、俺が持っているのはセイバーの宝具だった。一見すると。

 結局ギルガメッシュの見せてくれたこれはどう解析しても使っても、セイバーの宝具との違いが何かと言うのは分からなかった。
ようはぶっつけ本番パート2。
こんなざまでよく聖杯戦争生き残れたな俺。

「……そこまでやりますか、シロウ。」
「いや、出来ればやりたくないなーが本音。てなわけで降参してくれたら嬉しい。」
「しません。」
即答ですか。

「そこまでやるのでしたらこちらも…。」
へ?こちらも?
ってセイバーの不可視の剣に光がー。

「ちょっ、セイバー本気かよ!こんな町中でそれをやったら…!」
「問答無用です。」
ってキレてるー!遠坂たちも逃げないでくれー!

「食べ物の恨みは底なしに深いのですよ。」
「それが俺の死因ですか。」
ってあれをぶっ放されたらいくら黄金の鎧着てるからって間違いなく死亡フラグ立つだろ。
食い物で宝具ぶっ放されて死亡、なんて事になったら間違いなく人類の終わりまで語り継がれてしまう…!

 生き残る手段は…。
@とにかくその場で土下座。誠意を込めればきっと希望はあるさ。
A今持つ宝具に望みをたくそう。ひょっとするとすごいものかも?
Bそんな都合のいいもんがあるかよ。現実は非道よ。

 …Aしかなさそうだな…。今俺が持ってる宝具はほぼ100%アレと同じだ。なら使ってみないと結果は分からないし。
てなわけで俺もありったけの魔力を宝具に注ぐ。
一見してセイバーの宝具と同じ事が起きる。やっぱり何が違うのかが分からない。
まあ、セイバーよりはるかに魔力が少ない俺が同じ現象を起こせるのに疑問はあるけど、今さら遅い。

 そして光そのものが互いの宝具から解き放たれようとしている…!
  エ  ク  ス
「約束された――」
  エ  ク  ス
「約束された――」

 うん、ここまでは全く同じだ。断言したっていい。
 カ  リ  パ  ー
「敗北の剣!!」
 カ  リ  バ  ー
「勝利の剣!!」

 は?えっと…、宝具を使用したことで分かった点を列挙してみよう。
この宝具はいわゆるエクスカリバーのパチモン。その性質は『何でも切れない剣』である事だ。つまり攻撃をしても全くダメージを与えられない。 たとえアリにやっても無傷なままだろう。
なゆえに最強の盾でもある。なぜなら『何でも切れない剣』は文字通り、何であろうと突破される事のない剣なのだから。
オマケとしてそれを飛び道具として使うとなぜかとんでもない威力を発揮するとか。まあ、俺には使用不可能だろうけど。

 まあ、つまり、これの性質を読みきれず、攻撃として使った時点で敗北確定だったわけか。合掌。

「結局はこんなオチかい。」
てなわけで俺の宝具に何の効果は現れず、俺は光の中につつまれたのでした。





 結局セイバーは斜め上に宝具を使ってたために被害は道場だけですみ、エクスカリパーは無傷で残っていた。
ついでに、ランサーはそれをみていて「坊主、勇者だよおまえ」と言ってきたし、キャスターはセイバーのうろたえる姿をばっちり 盗撮してたらしい。
当の俺は遠坂に「よく生きてたわねー」といわれるほどに怪我を負って布団で寝込むハメに。
結果、衛宮の家計簿に更なるマイナスが増えたことは言うまでもない。

 おしまい。


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 えー、まずは士郎が果てしなく黒くてごめんなさい。
初めてのFateだけの短編、書いてて自分自身は面白かったですけど、まだ人物が完全に把握しきれてません…。精進あるのみです。
今回の士郎が使用した宝具、元ネタは言う必要もないほど有名ですけど、FF5ですね。やっちゃった感がぬぐえません(爆)。
で、実はもっと長い話だったのですけど、長すぎになってしまうので一旦ここで切りました。ぜひ続きをやってみたいです。
それではまたいつか。
  2006年5月13日


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