鬱蒼と茂った森の中をふたつの小さな足音が木霊した。 かさり、かさりと鳴る葉を丁寧に踏みつけながら尚も続く獣道を書き分ける子供達を 森達はまるで見守るかのように、さわさわと葉を揺らす、ただそれだけ。 太陽が空の天辺へと昇るまであと数時間。早朝の森の静けさの中で、一際目立つざわめきは、 ひどく可愛らしい二人の子供。同じ日、同じ時間に生まれた、二人の御子。

不安げに揺れた瞳の奥で、ほんの少しの好奇心が伺えるその表情に、 二人を見つめる森の小鳥たちは緩やかに微笑みそっと歌を歌った。

(朝早くからどうしたの?隠れるの、踊るの、それとも遊ぶの?
ならば僕等と歌を奏でましょう。朝を促す目覚めの歌を、清く光る太陽の光を、供に想う世界の歌を。)

小鳥の小さなさえずりに、子供達は擽ったそうに互いに耳を震わせ目を合わせた。 ゆるゆると頭を左右に振らせながら、歌を奏でる小鳥を見上げ、それからもう一度お互いの顔をみて笑った。

「今日は小鳥が、随分と歌を歌うのね!」
「うん、小鳥が歌を歌うのは、世界が平和な証拠だよね!」

声を合わせて二人は笑う。それに合わせてもう一度小鳥がるらるらと歌を歌った。 森のざわめきは次第に増え、それはやがて大きな合唱へと変化を遂げた。 それはまるで、森のハミング。双子達はそうやって朝の目覚めを奏でる森を、二人でそっとかけぬけてゆく。


「ねえ今日は何して遊ぶ?」
「そうね、かくれんぼでもしようか?」
「森も今日は楽しそうだもん。」
「そうね、とても明るいね!」


高く弾むような二人の会話を、小鳥はそっと盗み聞きをして空へと飛んだ。 そしてるりるらと一拍子歌を奏でて、やがて世界へと繋がる大空の端へと羽を羽ばたかせとびだって行った。


>>ハミング
(違う音響を重ねて響かせれば生まれる、なんて素敵なハーモニー!)

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